UMIUMA JOURNAL UMIUMAジャーナル

  • 味付け煮
  • 岩手県
有限会社早野商店
2024.12.29

岩手・龍泉洞のそばから届ける、“海・川・山の幸”。

昔ながらのお母さんの味を看板商品に。

日本三大鍾乳洞の一つ、龍泉洞のほど近く。水道の蛇口をひねれば、世界有数の透明度を誇る龍泉洞の水が出る恵まれた場所で、日用品や特産品の販売とともに、水産加工業も営んでいるのが有限会社早野商店です。

「店を始めたのは祖父で、当初は酒の小売業でした。昭和40年代に『このまま小売業だけでやっていくのは難しい』と考えた父が店頭で惣菜の販売を始め、昆布巻づくりを始めたのもその頃です」。

そう店の歴史を説明してくれたのは、取締役の早野由紀子さん。早野家では味噌や醤油造り、さらに江戸時代には近くの小本川を舟で上り下りしながら、海の幸を山に、山の幸を海に運ぶ、交易の仕事をしていたそうです。

同社が昆布巻づくりを始めたのは、早野家に伝わる昔話から。天保年間のある頃、早野家の先祖が川が荒れて舟が転覆した時、白いキツネに助けられ、近くのお稲荷さんに昆布巻を供えたという内容で早野商店の看板商品として大切にされてきました。

早野商店で製造される昆布巻や佃煮、甘露煮は家庭的でありながら、高級デパートに並んだり、飛行機のビジネスクラスの機内食に使われたりと、高く評価されており、「母が作っていた家庭の味付けなんです。当社は『安心・安全なものを食べてもらいたい』という思いがあり、合成着色料や保存料などは一切使っていません。昔ながらのシンプルな味を楽しんでいただけたらと思います」と早野さんがさらに教えてくれました。

昆布巻は、北海道産の上質な昆布で岩泉町産のイワナやヤマメ、三陸産の鮭などを職人が1本1本丁寧に手巻き。柔らかすぎず、堅すぎない、絶妙な食感で、素材の旨みがしっかりと感じられる上品な味付けに仕上げられています。

地域の自然の恵みを活かして、新商品を開発。

2011年の東日本大震災では、内陸地にあることから電気系統や機械の故障、床のひび割れなどの被害で治まったという早野商店ですが、2016年の台風10号でも被害を受けることとなりました。

自然災害に加え、近年では新型コロナウイルスの影響などを受けながらも、早野さんは新たな商品づくりに意欲的。地域の素材とコラボレーションした商品開発にも挑戦しており、その一つとして実を結んだのが、紫波のワイナリーのワインで牡蠣を煮込んだ「おつまみオイスター」です。

「ワイナリーの方が、うちの商品を食べて声をかけてくれました。これまで作ってきた味わいが評価されてうれしかったですし、これからも地域の恵まれた素材を活かした商品づくりで、この地域を盛り上げられればうれしいです」と早野さん。周囲には、川や海にはない、山の恵みがあふれている早野商店。海・川・山の幸をふんだんに活かした商品を通じて、町の魅力を発信していきます。

COMPANY INFO 今回のつくり手さんの会社

有限会社早野商店

住所
〒027-0501
岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉村木18-32
取扱製品
昆布巻(ニシン、サケ、イワナ、ヤマメ)、かき佃煮 ほか