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株式会社兆星
2025.02.28

無数に輝く星のように、たくさんの笑顔を。江戸時代から続く、銚子の老舗加工会社。

看板商品は“究極の干物”と呼ばれる灰干し。

その中で、同社の看板商品となったのが“灰干し”です。「弊社では“究極の干物”と呼んでいます」と早河さん。灰干しとは、火山灰の灰と灰の間に魚を挟んで、余分な水分を取ってうまみだけを残す昔ながらの製法。魚が灰で汚れないように紙のセロハンで包んだり、良質な火山灰を取り寄せたり、乾かすのに時間がかかったりと手間暇のかかる製法で、他の製法の半分ほどの量しか作ることはできませんが、臭みが少なく、塩分も半分に。ふっくらと、やわらかな食感の干物ができあがります。

品質第一の姿勢は受け継ぎながら。

灰干しの他にも、さまざまな製法にチャレンジしてきた兆星。佃煮、焼き加工、レトルト製品など、幅広い加工に対応できますが、2011年の東日本大震災後は、工場稼働率が急減。津波の被害はありませんでしたが、地震の揺れで工場にヒビが入り、修繕が必要な状況に。しかし、それよりも大変だったのは、配送先が停電のために納品できなかったこと。作ったものを持っていっても、『停電で冷凍庫が使えないから引き取れない』と言われて引き返し、そのまま廃棄せざるを得なかったこともあるそうです。

震災の影響の他にも、これまで原料として使っていた魚種の水揚げ量減少といった難題に直面した兆星ですが、逆境にめげることなく新商品づくりに挑戦。消費者のニーズの変化に対応した商品を作り出し、新たな加工の注文なども決まりました。「それでも創業当初から、銚子港で水揚げされる原料を使った、品質第一の姿勢は変わっていません」と早河さん。「その上でお客様の声に耳を傾けて、新しい設備機器を導入するなど、時代に合わせた変化も大切にしていきたいと思っています」と語りました。

また、近年は新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす人が増えたため、家庭向け製品の注文が増加。特に需要が多いレトルト製品の開発にも注力していくと教えてくれました。

江戸時代から続く歴史にあぐらをかくことなく、時代の変化に柔軟に対応することで伝統を守り、未来へ繋げている兆星。その社名の由来について、早河さんは「はっきりとわかっていないのですが…」と前置きしながら、教えてくれました。「何代も前からこの屋号が使われていたそうですが、私たちは『空に光る無数の星のように、たくさんの笑顔を輝かせたい』という思いで商品づくりにあたっています。お客様や従業員、取引先のみなさんが輝き、銚子が活性化する力になれればうれしいですね」。

COMPANY INFO 今回のつくり手さんの会社

株式会社兆星

住所
〒288-0002
千葉県銚子市明神町2-292
取扱製品
灰干し、漬け魚、佃煮、焼き魚 ほか