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UMIUMA JOURNAL
創業75年。志津川湾の恵みを、多彩な商品に。
1949年に創業。震災後は復興の牽引役として。
「志津川湾の素材をはじめ、質のいい宮城の魚介の味わいを活かすため、なるべく保存料などを使わずに商品を作っています」と話すのは、株式会社ヤマウチの取締役・山内淳平さん。1949年に南三陸で鮮魚店として創業した同社は1988年に法人化した際に工場を建て、水産加工を開始。当初は鮮魚の出荷から始め、切り身、調理まで、さまざまな加工を行うように。タコやサケなど、地元南三陸の原料を使い、全国の品評会でも多くの賞を受賞しています。山内さんは「保存料などの添加物はなるべく使用せず、麹や味噌は自家製です。手間暇はかかりますが、おいしさへのこだわりはずっと大切に受け継がれています」と語りました。
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2011年の東日本大震災で、壊滅的な津波被害のあった南三陸町でしたが、当時50人近くいたヤマウチの従業員は全員無事でした。一方で、店舗や工場、在庫、顧客データなどはすべて津波で流されてしまう事態に。しかし、この危機的な状況にあっても同社は同年7月にタコの水揚げが再開されると仕事を本格化。タコとともに水揚げされた鮮魚の出荷を始め、お盆に間に合うようにと8月には高台の空き地に鮮魚店の仮設店舗をオープンしました。「魚を中心に、肉や惣菜も買えるようなお店で、食べるところがないので食堂も作りました」と山内さんは当時を振り返りました。
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さらに12月には、震災前から設置の準備を進めていた新しい冷凍庫が完成し、顧客からの「焼き魚が欲しい」というニーズに応えるため、加工を本格的に再開。2018年には南三陸町の復興のシンボルともなっている南三陸さんさん商店街に、仮設店舗から移って「山内鮮魚店」を新たにオープン。南三陸町の常連客にも加え、災害ボランティアで関わった人など全国からお客さんが訪れています。
「また、代表取締役社長の山内正文さんが実行委員長となって、震災直後から開催してきた復興市も2022年5月の100回記念まで行われ、南三陸の水産業、そして町全体の復興を牽引する存在の一つとなりました。
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個包装やネット店舗など、時代を先取りした取り組み。
ヤマウチ鮮魚店には、地元で水揚げされた鮮魚や、自社ブランドの商品がずらりと並んでいます。品目数は、500以上にのぼるそうで、多くは今でも店頭に立っている社長がひらめきで作ってきたもの。その中でもヒット商品の一つとなったのが、「しっかり朝ごはん」シリーズです。このシリーズでは、さまざまな焼き魚を食べきりサイズの個包装に。レンジ調理対応のため、朝食やお弁当のおかずにも便利です。今でこそ、このような形の商品も多く見られますが、開発した頃はそのような商品は珍しく、周囲からの反応もいまいちだったそうです。「販売当初はバイヤーからも『そんな商品売れないんじゃない』と言われたようです。ただ、徐々に味や手軽さが消費者に受け入れられてヒット商品になりました」。
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ヤマウチの時代を先取りする気風は、商品づくり以外にも。インターネット店舗をスマートフォン登場前の2005年にオープン。当時は水産関係の店舗が少なかったため先駆け的な存在となり、など、インターネット関連でもたびたび表彰されています。
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そして、近年でも漬け丼の具や焼きウニ味噌など、新しい商品を次々展開している同社。コロナ禍の後からはご飯のお供となる商品が売れ筋となっています。
元々、東京で板前として包丁を握り、ヤマウチに入社してからは買付まで行うなど、素材の目利きと調理のノウハウを持つ山内さんは、現在、42歳(2024年12月時点)。その若手らしい感覚を活かした商品開発を行っています。「私も会社を代表するようなヒット商品をさらに作りたいと思っています。そのために全国各地で情報をインプットしながら、地元の魚を使ったらどんな新しい商品ができるか日頃から構想しています」。これからもヤマウチは南三陸町への想いや品質のこだわりは変えることなく、新しくておいしい商品を生み出してくれそうです。
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COMPANY INFO 今回のつくり手さんの会社
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