2026-03-23
まだ知らない福島の魅力に出会う

福島県いわき市で味わう、煮こごりとメヒカリ
2011年の東日本大震災によって甚大な被害を受けた福島県。しかし、この地域には、あなたのイメージだけでは語り尽くせない魅力があふれています。
福島県は東北地方の中で東京に最も近く、日本で3番目に大きな県でもあります。雄大な山々が連なる内陸の風景や、穏やかな海岸線まで広がる自然の美しさをはじめ、歴史ある名所、温泉、上質な日本酒など、まだ知られていない魅力が各地に点在しています。
福島県の南東部、太平洋に面しているのがいわき市です。ヒラメやカレイなどの魚をはじめ、深海魚のメヒカリといった個性豊かな海の幸にも恵まれています。こうした食材は、福島県の新たな魅力として注目を集め、地域が復興の先へ歩み続ける力にもなっています。
地域で親しまれる煮こごり
コラーゲンを豊富に含んだ旨みたっぷりの出汁で、肉や魚を固めた「煮こごり」。福島・宮城・茨城にまたがる常磐地域の沿岸部では、特に親しまれている料理です。
煮こごりは温かいご飯の上に乗せたり、他の料理と一緒に味わうのがおすすめ。口の中でとろける柔らかな食感と、海の恵みをそのまま閉じ込めたような味わいを楽しめます。
後ほど紹介する福島県最大級の規模を誇る鮮魚店「おのざき」では、煮こごりにも力を入れており、地元で獲れるさまざまな魚の煮こごりを提供しています。
- ・ヒラメ
- ・アナゴ
- ・アンコウ
- ・アカエイ
- ・タイ
煮こごりはさまざまな組み合わせで楽しむことができます。旨みがぎゅっと詰まった煮こごりは、そのまま温かいご飯の上にのせて味わうのが最も伝統的でシンプルな食べ方。福島の海で獲れた魚の風味を堪能できます。一方で近年は、若い世代の間でパスタに加えたり、オリーブオイルを少しかけて白ワインと合わせたりと、現代風にアレンジするスタイルも人気を集めています。
緑色の目を持つメヒカリ
福島県のもう一つの名物がメヒカリです。大きく光る緑色の目を持つ小さな深海魚で、その特徴から「光る目」にちなんで名付けられました。福島県沖でよく水揚げされますが、水深200~700メートルという深海に生息しているため漁獲が難しく、希少な食材となっています。
こうした希少性がありながらも、メヒカリは手頃な価格で親しまれてきました。その理由は二つあります。まず、サイズが小さいため、かつては主に漁師が食べる魚で、広く知られていなかったこと。もう一つは鮮度が落ちやすいため、かつては流通が難しく、沿岸地域を中心に消費されていたことです。
現在では、手頃でありながらおいしい海の幸として、多くの人々に広く楽しまれているメヒカリ。淡白でほろほろの白身と深い旨みが特徴で、素材の味を活かしたシンプルな料理にされることが多く、刺身、唐揚げ、干物などでよく食べられます。また、メヒカリの干物や常磐沖で獲れる高級カレイ「ヤナギムシガレイ」の干物は、日本酒との相性も抜群。東京の居酒屋でも、こうした組み合わせで提供されることがよくあります。
おのざきでは、商品開発の段階から地元の酒蔵と協力し、日本酒と互いに引き立て合う味わいを目指した商品づくりにこだわっています。これから登場する“日本酒にぴったりの魚料理”にも、ぜひ注目してみてください。
それでは、おのざきとその取り組みについて紹介しましょう。
おのざき:いわき市の海産物の未来
おのざきは、福島県いわき市で1923年に創業した老舗の鮮魚店です。四代にわたり受け継がれてきた歴史の中で、地域の小さな魚屋から、福島県を代表する鮮魚店の一つへと成長してきました。その原動力となっているのが、常磐沖で獲れる魚「常磐もの」へのこだわりです。
創業100周年を迎えた現在も、おのざきは地域の魚食文化を守り、その魅力を発信し続けています。同社が掲げる理念は明確です。「私たちの使命は、地域の宝を見出し、それらを自然につなぎ合わせ、美しい調和を生み出すことで、この土地の個性を守り、さらに発展させることです」
おのざきが自社で製造する商品は、常磐ものを含め、すべて福島県沖で水揚げされた魚を使用。地元のお客さんへ誇りを持ちながら、温かなもてなしの心を大切に、上質で新鮮な魚を提供しています。その味わいは、店舗に併設された「潮目食堂」で実際に味わうことができます。
潮目食堂は、市場のような活気ある雰囲気の中で食事を楽しめる食事処です。丼ものやボリュームのある定食、できたての海鮮料理などがそろい、常磐の海の味わいを存分に堪能できます。料理には旬の魚が使われ、素材の魅力を丁寧に引き出しています。気取らない雰囲気の店内は、いわきならではの海の幸を味わうのにぴったりの場所です。
店内では、旬の魚介を使った多彩な商品が販売されるほか、地域の人々が学び、楽しみ、交流できるさまざまなイベントも企画・開催しています。
中でも人気なのが、藁で豪快に炙る「カツオの火山(ひやま)焼き」や、吊るしたアンコウをさばく伝統の「アンコウの吊るし切り」。子どもたちに大人気の「エビすくい」、そして日本酒と鮮魚のペアリングイベントといったイベントも開催。
ただ魚を買うだけの場所ではなく、人が集い、つながりが生まれる、地域の交流拠点にもなっています。
旅の思い出とともに、いわきの味を持ち帰りたい方は、おのざきのオンラインショップもおすすめです。グルメギフトをはじめ、栄養たっぷりのベビーフード、海の恵みを生かした保存食など、オリジナル商品を豊富にラインナップ。ご自宅用や大切な人への贈り物として、いわきの海の魅力を、家族や友人と食卓でゆっくり味わってください。
福島県いわき市の必見スポット
さあ、いわき市のさらなる探検に出かけましょう!
道の駅いわき・ら・ら・ミュウ
小名浜の海辺に位置する「道の駅いわき・ら・ら・ミュウ」は、いわき市の魅力を一度に楽しめる、開放的な全天候型の複合施設です。館内には、活気ある魚市場をはじめ、屋内バーベキューエリア、土産店、海鮮レストラン、子ども向けの遊び場などがそろい、天候を気にせず一日中楽しむことができます。
魚市場の魅力は、鮮度、品揃え、お手ごろ価格の三拍子。場内では、まるで競りのような雰囲気で、値段の交渉も楽しめます。土産店には、地元の珍味や思い出に残る商品がずらり。飲食エリアでは太平洋のパノラマビューを眺めながら旬の海鮮丼を味わうことができます。
館内では、旬の刺身を豪快にのせた海鮮丼に舌鼓を打ちましょう。飲食店から窓の外に目を向ければ、小名浜港を行き交う大きな遊覧船を見ることができます。福島の海の恵みの豊かな味わいと、港に寄せては返す穏やかな波の景色。五感で海辺ならではの素敵なひとときを堪能できます。
港のそばで買い物やグルメを楽しめる「いわき・ら・ら・ミュウ」へは、車は常磐自動車道「いわき小名浜I.C」より約13分。JRの場合にはまず泉駅へ。そこから1番乗り場より西原・泉・湯本高校線(西原行き)のバスに乗車し、約13分で小名川橋バス停に到着。そこから施設までは徒歩約11分です。
そして、次の目的地「アクアマリンふくしま」までは、徒歩でわずか16分ほどです。
アクアマリンふくしま
アクアマリンふくしまは、自然に近い環境を再現した展示で海の生きものを紹介する、ユニークな「環境水族館」です。一般的な水族館としての機能だけではなく、持続可能性や海洋保護に関する研究拠点としての役割も担っています。館内の見所は、2階から4階まで吹き抜けでつながる巨大水槽。福島沖で黒潮と親潮が交わるダイナミックな海域「潮目の海(しおめのうみ)」を表現しています。
この水族館の特徴の一つが、古代魚シーラカンスに関する長年の研究です。シーラカンスの展示では、貴重な解剖標本を間近で観察できるほか、「生きた化石」と呼ばれるこの神秘的な魚の貴重な映像も上映。天井から見下ろす巨大なシーラカンスの模型の下で、海の進化の歴史を物語る特別な生きものの姿に触れることができます。
来館者は、きらめくイワシの群れやカツオなど、さまざまな在来種に囲まれた透明なトンネルを歩いて楽しむことができます。4階には、この地域の多様な植物を紹介する植物園があり、さらに展望デッキからは、圧倒的なスケールのメイン水槽を見渡すことができます。
小さなお子さまは、おとなしいヒトデや小さな海の生物に触れられる体験プログラムを楽しむことができます。タイミングが合えば、可愛らしいカワウソの餌やりや、アザラシやトドのにぎやかな給餌の様子を見ることも。思わず、帰りたくなくなるかもしれないので注意です!
いわき・ら・ら・ミュウで海鮮ランチを楽しんだ後、アクアマリンふくしまでは徒歩約16分。一方、泉駅から向かう場合は、南口のバス乗り場から小名浜・江名方面行きのバスに乗車。約10〜15分でイオンモールいわき小名浜バス停に到着し、そこから徒歩5分ほどで水族館に到着します。
願成寺
白水阿弥陀堂はいわき市の願成寺にある最も有名な建造物で、福島県内で唯一、国宝に指定されている建物です。平安時代後期(約1050年~1185年)にあたる1160年に建立されました。阿弥陀堂は、藤原清衡の娘である徳姫が、夫であるこの地の領主・岩城則道を偲んで建立したと伝えられています。
ゆったりとした屋根の曲線や、繊細な木組みの意匠、そして調和のとれた佇まいなど、その洗練された建築は、平安時代後期の寺院建築の優雅さを現代に伝えています。
阿弥陀堂の周囲には、仏教の極楽浄土の世界を表現した、美しい浄土式庭園が広がっています。当時の姿をそのまま残した浄土庭園の例は少なく、願成寺は非常に貴重な存在です。堂内には、阿弥陀三尊(阿弥陀如来・観音菩薩・勢至菩薩)をはじめ、持国天と多聞天の像が安置されており、いずれも重要文化財に指定されています。
境内は季節によって大きく表情を変えます。夏には池一面に蓮の花が咲き、秋には古いイチョウやモミジが黄金色や深紅に色づきます。秋のライトアップイベントでは、柔らかな照明と繊細なプロジェクションマッピングによって堂内の意匠や天井画が照らし出され、幻想的な夜の雰囲気が広がります。
願成寺へは、3番乗り場から川平行きのいわき川平線バスに乗車を。約20分で阿弥陀堂バス停に到着し、そこから徒歩10分ほどで願成寺に到着します。
番外編:小名浜港といわき湯本温泉
ここからは、地元の人たちが推薦するスポットを紹介します。まずは、いわきの海岸に位置し、太平洋を望む小名浜港から。この港は1747年に築かれ、江戸時代には年貢米の積み出し港として、明治時代には石炭の積出港として利用されてきました。
こうした長い歴史を経ても変わらずに港の風景は美しく、地元の人々や観光客をやさしく迎えてくれます。