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2024-12-06

岩手のわかめと観光名所

日本有数のわかめの生産地を探訪

岩手県陸前高田市にある黒崎仙峡温泉の眺望

東北地方に位置する岩手県は、国内で二番目に広い県です。

この広大な県では、山岳地帯と美しい海岸線の自然が調和し、史跡では長い歴史を垣間見ることができます。アウトドア好きな方には良質なスキー場や温泉、文化好きな方には伝統芸能や工芸品が人気です。そして岩手のグルメといえば、山の幸と海の幸。後者を味わうなら、ぜひ陸前高田市へ。

岩手県の沿岸に位置する陸前高田市は、かつて約7万本の松の木が約2km続く海岸線「高田松原」で有名でした。しかし、2011年の東日本大震災と津波によって、この名勝地も市街地も壊滅的な打撃を受けました。以来、陸前高田は逆境を乗り越え、地域社会を再建し、東北の中でも印象深い記念館や公園をオープンしました。また、文化的なスポットや眺望抜群の温泉などもあり、地元の人々の生活や思い出の場所の魅力を体験できる、穴場の観光地となっています。

陸前高田は、イクラや三陸産わかめなど、新鮮な海の幸を味わえる一大スポットでもあります。ここで、長い歴史を持つ老舗水産会社「かわむら」を訪ねてみましょう。

かわむらではイクラの商品を 「加和喜フーズ 」という社名で販売しています。しかし、記事ではわかりやすくするため、同社を「かわむら」と表記します。

まずイクラと三陸わかめの基本から

かわむらの三陸わかめ

わかめは国内で食用にされる日本三大海藻(昆布、わかめ、海苔)のひとつ。シャキシャキ、つるつるとした食感と、ほのかな塩味、磯の風味、しっかりとしたうま味が特徴です。味噌汁をはじめとするスープやサラダ、さまざまなおかず、麺類などでも欠かせません。

大粒で鮮やかな赤橙色が目を引くイクラ。口の中ではじけるような食感が楽しめ、自然なうま味があり、丼や寿司のネタとして人気です。

かわむらのイクラ

青森、岩手、宮城は三陸と呼ばれ、その海は世界三大漁場のひとつ。何と国産わかめの約70%を生産しています。この海域では黒潮と親潮がぶつかり合い、栄養をたっぷり含んだ海水が生まれます。この栄養豊かな環境が、良質なわかめや鮭を育みます。

海のスーパーフードで栄養補給

わかめにはカルシウム、マグネシウム、ヨウ素などの豊富なミネラルに加えて、 ビタミンA、C、E、Kなどの栄養素も含まれています。これらは血圧を下げ、心臓を健やかに保ち、血糖値を下げる効果があると言われています。

また、イクラにはビタミンAやEが含まれ、生活習慣病や認知症の予防に役立つとされる必須脂肪酸のDHAやEPAも豊富。わかめやイクラは美味しいだけでなく、健康にも良いと言われています。

かわむら:わかめとイクラの 国内有数メーカーのひとつ

かわむらのわかめサラダ

かわむらは気仙沼市に本社を置く水産加工会社。主にわかめ、イクラ、鮭などの水産加工品を販売しています。海藻はすべて三陸産。鮭の加工品については、三陸以外からも仕入れています。

かわむらは創業以来、三陸の海の幸を皆様にお届けすることを目標に、健康・安全・品質管理に努めています。その徹底した取り組みにより、食品安全管理の国際規格HACCP、FSSC22000(かわむら岩手第二加工場)認証を取得しました。安全で高品質な水産物を提供するために、独自の製法を用い、衛生管理を徹底しています。

イクラ丼(©加和喜フーズ)

かわむらの商品開発には、顧客の声も欠かせません。BtoB企業である同社が主に取引しているのは、寿司チェーン店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの食品業界です。新商品開発のため、同社はバイヤーを工場に招待して試食を依頼し、フィードバックを受けています。

細部にまでこだわった同社の商品では、三陸の真髄を味わうことができます。

津波よりも逞しく

かわむらグループは2011年の津波で甚大な被害を受け、27ある工場のうち25の工場を失いました。しかし、同社はすぐに復興に向けて立ち上がり、同年に被災施設の再建を開始。震災からわずか5年後の2016年には最後の工場を完成させ、その回復力を示しました。

かわむらの商品をぜひお試しください

イクラおにぎり

株式会社かわむら家ではオンラインストアを展開しており、かわむらのわかめやイクラを実際に購入することができます。また、かわむらでは主に関東・東北地方の食品関連企業と取引をしています。かわむらの商品はスーパーのお惣菜、人気のある回転寿司屋のお寿司やスープ、コンビニのイクラおにぎりの具、などに使われています。

陸前高田市で観光

岩手県の最南端に位置する陸前高田市は、豊かな文化、海辺のくつろぎ、スローライフが楽しめる美しい街です。東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた後、博物館、記念公園、被災当時の面影を残す建物など、追悼と将来への備えを示す希望の灯台となり、この地域で最も人気のある観光地となりました。続いて、陸前高田市の観光スポットをご紹介します。

普門寺

普門寺本堂とサルスベリ

普門寺は500年以上前に創建された曹洞宗の寺院です。三重塔、木造伝聖観音像、絹本著色愛染明王画像の岩手三文化財を有し、本堂の参道には、岩手の天然記念物に指定されている樹齢300年を超えるサルスベリの大木があります。

寺院入口
庭園内の三重塔

本堂は、龍、花、鳥、植物などの精巧な彫刻が施されています。その後ろには、日本庭園に囲まれた、控えめながらシンボリックな三重塔があります。

震災犠牲者のための羅漢像

寺院の手前では、苔に彩られた巨木が神秘的な雰囲気を醸出。また、周囲には背の高い竹が生い茂り、人里離れた別世界を作り出しています。この場所には、地震と津波の犠牲者を追悼するために、何百体もの手彫りの羅漢像が並べられています。同じものは二つとなく、安らかな表情、幸せそうな表情など、さまざまな表情の像を見ることができ、亡くなられた方々の魂を讃えています。

東日本大震災津波伝承館

東日本大震災津波伝承館

東日本大震災津波伝承館は、東日本大震災の犠牲者と津波の被害を悼むだけでなく、二度とこのような被害を出さないための教訓を共有することを目的としています。

館内は、津波災害の歴史と科学、2011年の地震と津波の影響、教訓、復興への取り組みの4つのゾーンに分かれています。英語による説明や英語を話すスタッフもいるので、海外の方でも安心です。また、館内には休憩所もあり、美味しい食事や地元のお土産も販売しています。

破損した消防車
震災後に見つかったトランペット

ゾーン2には、車や橋の一部、バレーボール、トランペット、キーボードといった、津波の後に回収され、ボロボロになったものが数多く展示されており、視覚的に最もインパクトのあるゾーンになっています。この伝承館では被害の大きさを感じるだけではなく、災害への対応策や今後同じような悲劇を起こさないようにするための教訓について学ぶことができます。

海の見える展望台
陸前高田ユースホステル

敷地内には緑地や中学校、ユースホステル、集合住宅、休憩所などの震災遺構が保存されている広大な公園があります。中の物がすべて流された建造物は衝撃的で、津波の大きさと壊滅的な被害を思い起こさせます。また何百本もの松の若木を背景に、海を眺めることができる展望台もあります。

奇跡の一本松

奇跡の一本松と陸前高田ユースホステル

記念公園の敷地内にある「奇跡の一本松」は、日本の希望のシンボルです。かつてこの地域には、高田松原と総称される約7万本の松の木がありましたが、津波によって奇跡の一本松を除くすべての松が失われてしまいました。この松は津波の直後、塩害で枯れてしまいましたが、陸前高田市は失われた魂への慰霊と、希望と復興の道しるべとしてこの松を保存しています。

黒崎仙峡温泉

天然温泉の内風呂

黒崎仙峡温泉では最高のリラクゼーションを体験できます。この温泉は陸前高田市の広田半島の先端にある日帰り温泉施設。天井近い高さの窓の向こうに、岩場が点在するきらめく海を一望できる内湯があります。海の手前には緑が生い茂り、美しい自然の景観が描かれています。この光景を目の前にすれば、温泉の効果も倍増することでしょう。

売店
素晴らしい眺望の屋外席

温泉には、手作りの工芸品や軽食を販売する小さな売店があり、オーシャンビューの畳敷きの休憩スペースも備えられています。ここではラーメン、カレー、うどん、とんかつなどのおいしいメニューを600~950円ほどで楽しむことができます。波を間近に感じたい方は、屋外の席もご利用ください!

岩手県陸前高田市を体験

陸前高田市の最寄り駅は一ノ関駅で、東北新幹線で東京駅から約2時間半、仙台駅から約30分。一ノ関駅からはJR大船渡線で気仙沼駅まで約1時間半、BRT(バス高速輸送システム)で陸前高田まで約35分です。

岩手県は雄大な山々や海岸線、豊かな文化が共存し、また観光地化しすぎていない点も魅力です。その中でも陸前高田では、想像を絶する事態をたくましく乗り越えて、海の驚異や恵みをより身近に感じることができます。この有意義な冒険の旅で、かわむらの上質なわかめとイクラもお楽しみください。

陸前高田の海岸線

もっと東北の海の幸をお探しですか?

かわむらのワカメとイクラは、東北の海の幸のほんの一部に過ぎません。「海の幸の旅」特集ページでは、東北のおいしいものを見つけたり、水産物の作り手の想いにふれることができます。